東京プロマーケットならではの上場メリット
株式上場には多くのメリットがありますが、東京プロマーケットならではの上場メリットはどういった点にあるのでしょうか?
上場までのスピードが早い
東証一部やマザーズなどの主だった株式市場で上場するには、早くても3年はかかります。これは上場審査にあたって2期分の監査証明が必要になり、監査証明に先立って会計処理の整備などが必要になるためです。
しかし東京プロマーケットでは、直近の事業年度1期分の監査証明でよいとされており、上場の条件が緩和されています。そのため、上場までのスピードが早く、既に監査法人の監査を受けているケースでは決断してから1年以内の上場も可能です。
上場に係る形式基準がない
株式市場の上場のためには、形式基準と実質基準の両方を満たさなければなりません。東証やマザーズなどの一般的な株式市場では、形式基準として株主の数や純資産、企業の時価総額などの要件が設定され、細かく条件付けされています。
例えばマザーズでは、形式基準として株主数は200人以上、時価総額は10億円以上などの要件があります。しかし東京プロマーケットではこの形式基準がありません。すなわち、株主がオーナー一族だけの場合でも上場は可能です。
上場要件が緩和されたことで、上場のハードルが大きく下がっているのも東京プロマーケットのメリットです。
準備期間が少ないことによるコストの低下
一般的に株式上場の際には初年度に五千万円、毎年のランニングコストとして五千万円がかかると言われています。この内訳は以下の通りです。
- 上場審査料
- 新規上場料
- 公開申請書類作成費
- 監査法人に対する監査報酬
- 有価証券届出書や目論見書
この他にも上場準備中の見えないコストとしては社内の管理体制や会計処理の準備などにかかるコストなどもあります。これらを合わせると、平均で約五千万円ほどになるというわけです。
また、上場までの時間がかかるほど、顧問となる監査法人や会計事務所、弁護士事務所に対する報酬などのランニングコストがかかることになります。上場までの期間を短縮することで、ランニングコストを抑えることができます。一般的に東京プロマーケットの上場準備コストは、二千万円から三千万円と言われています。
維持コストも安く済む
一般的な上場後のコストには以下のようなものがあります。
- 上場手数料
- 監査法人に対する監査報酬
- 株式事務代行手数料
- 開示書類作成関連費用
- IR関連費用
- 株主対策費用
一般的な株式市場では、年に4回決算を行い、四半期報告書を作成して情報開示しなければなりません。全ての費用を合わせると年間で五千万円ほどが上場コストとして発生すると言われています。
しかし東京プロマーケットでは四半期開示が任意です。この他、内部統制報告制度なども任意なため、このコストも削減できます。
東京プロマーケットのデメリット
一方で東京プロマーケットには弱点も指摘されています。
投資家が制限されることで資金の流動性が下がる
東京プロマーケットはプロ投資家等のみが株式を購入することができるため、国内の一般投資家は市場に参入することができません。この制度によって形式基準の緩和や上場コストの削減など、他の市場とは異なる形態を実現させています。
一般投資家が参入できないことによって流動性が下がっている点は、デメリットであると指摘する人もいます。
上場の際に資金調達をしにくい
一般的な株式市場では、上場するまでは企業の株を経営者など一部の人が保有しています。
上場時にその株を放出する(売出しを行う)ことや新株発行(公募増資)を実施することにより、経営者などに創業者利益(キャピタルゲイン)をもたらしたり、会社にとっての資金調達が実現したりします。
しかし東京プロマーケットは、現時点では流動性が低いことから、上場時の公募売出しを実施しても想定した資金を集めることが難しいというデメリットがあります。
東証に上場したことで得られる信頼感や企業のブランド化による事業の拡大といったメリットの方が大きいと捉えるかどうかによって、デメリットをどう解釈するかが変わってくると言えるでしょう。
コメント