これまで東京プロマーケットに上場した企業は20を超えますが(2018年3月時点では30を超えました)、上場の目的は企業によってさまざまです。必ずしも目的は一つではなく複数の目的を持っての上場ではありますが、どんな目的を持って上場を決めたのか、よくある上場の目的をピックアップしました。
信用度や知名度の向上
中小企業の経営者が「欲しいもの」としてあげるNo. 1は「信用度や知名度」です。
これは形のない漠然としたものであり、どうやったらそれを得られるのか(高めることができるのか)と言うことになるのですが、その手段が上場であると多くの経営者が考えています。
もちろん、我々もその通りであると思います。東京プロマーケットに上場すると、「東証上場企業」という看板を頂けます。すなわち、東証1部上場会社も、マザーズ上場会社も、東京プロマーケット上場会社も同じ「東証上場企業」です。
東京プロマーケットに上場する会社は、まず上場によってこのブランドを手に入れ、その信用度や知名度を活用してビジネスを加速し、さらに上を目指していく、という考えです。
資金調達
まずはやはり資金調達を目的とした上場です。とはいっても東京プロマーケットはプロ投資家の市場なので、東証やマザーズなどの一般市場に比べると流動性が低いため、上場によって直接投資家から資金を集められるかというと少し難しい市場ではあります。
しかし、東京プロマーケット上場企業の多くは、上場前もしくは上場後に会社関係者、取引先、キャピタル(個人投資家を含む)などに対する第三者割当増資によって資金調達を行っています。概ね数千万~2、3億円といった額です。
さらに、上場前から銀行などの金融機関との関係もよくなり追加融資や新規の融資取引がはじまったりしており、間接金融の面でもメリットがあります。
もし、東京プロマーケット場というイベントが無ければ、これらの企業が果たして同じだけの増資(第三者割当)ができたでしょうか?流動性が低いというだけで資金調達が難しいのではと考えるのは早計かもしれません。
人材獲得
中小企業経営において、いつも頭を悩ますのが優秀な人材の獲得です。いくら会社の良さをアピールしてもなかなか良い人材があつまってこないのです。
もちろん上場しただけで、魔法のように人材がくるわけではありませんが、上場することによって、会社の知名度や信用度がアップし、応募者側も安心して問い合わせてみようという気になるのではないでしょうか。
事実、東京プロマーケット上場会社の多くが、人材獲得面においてのメリットを感じています。
より有利な事業承継
東京プロマーケットの上場目的の一つに、事業承継があります。
企業が事業承継するためにはいくつかのハードルがあります。まずは、後継者そのものの不在。次に事業資金の借り入れの問題です。
後継者の不在
いま多くの中小企業が後継者問題で悩んでいます。
後継者を外部から求める場合は、会社の知名度や信用度は大きな要素です。上場企業というネームバリューと信頼感があることで、求人を募集する際にもより優秀な人材が集まりやすくなります。
事業資金の借り入れ
無借金経営で順調に成長している企業もありますが、多くの企業はどこかの時点で事業資金を借り入れていることが多いものです。その際、経営者が連帯保証人になっていることが多くありますが、事業を後継する時にはこの保証も引き継ぐ必要が出てきます。
後継者になることにより、多額の債務を抱えてしまうのでは、なかなか後継者としてやっていきたいと考える人はいないかもしれません。しかし、企業が経営者個人に依存している状態が望ましくないとの考えから、東京プロマーケットの上場の際にはこの連帯保証を外すように求められます。
また、「経営者補償に関するガイドライン」でも個人と法人の分離が求められています。経営者の連帯保証を外すことにより、後継者の負担も軽減され、後継者が見つけやすくなるというメリットがあります。
事業拡大
上場していない時に比べて、上場企業はネームバリューや信頼が上がります。その結果、資金調達に有利なだけではなく、より規模の大きな取引先が見つかるというメリットもあります。
東京プロマーケットの上場を足がかりとして、さらなる事業の拡大を目的とする企業も少なくありません。一般的な株式市場に上場するよりもはるかに短い期間、少ない費用で上場が果たせるため、事業拡大もスムーズに展開することができるからです。
東京プロマーケットから他の株式市場へ上場する
東京プロマーケットの最大のメリットは、上場までの期間が他の株式市場に比べて飛躍的に短いこと、そのために上場の費用も抑えられることです。
東京プロマーケット上場会社のほとんどが、この上場によって企業の社会的地位を上げ成長を加速させ、そこから他の株式市場(マザーズやJASDAQなどの一般市場)への上場を目指そうとしています。
まずは東京プロマーケットに上場することで、内部統制や会計管理などの社内システムが整えられ、結果的に一般市場に上場するための基準に早く達することができます。
ゼロから東証を目指すのでは、時間も費用もかかってしまいます。しかし、東京プロマーケットの上場を間に挟むことによって、より効率的に企業を整えることができるのです。
結果的に、上場後に会社を売却したケース
東京プロマーケットに上場することは、「上場会社になる」と言う点では、他の一般市場の上場と同じです。
そして、買収対象が上場会社の場合、未上場会社に比べて信用度が高く(上場によって一定の信用は担保されている)、企業価値はより高く評価されるでしょう。(結果的に)上場後、会社を高い価値で売却し、いわゆるEXITを果たしたケースもあります。
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