企業が、東証やマザーズ、ジャスダックなどの株式市場に上場したいと思った時には、上場要件をクリアする必要があります。上場要件には形式基準と実質基準があり、市場によって定められる基準が異なります。
形式基準
形式基準とは、株主数や時価総額、事業継続年数や純資産など、客観的な数字や事実で判断できる基準のことです。例えば新興市場と呼ばれるマザーズの大まかな上場要件は以下の通りです。
- 株主数:200人以上
- 流通形式:流通株式数2,000単位以上、比率は25%以上
- 時価総額:10億円以上
- 事業継続年数:上場申請日より1年以上前
実質基準
実質基準とは、その企業が上場にふさわしい企業といえるかを判断する基準です。実質基準は形式基準とは異なり、具体的な数値で判断することが難しいものです。そのため、主幹的な判断に偏り過ぎないように、内部管理体制や健全性、内容開示の適正性など、ある程度の要件が定められています。
例えば東証市場では以下の5つが実質基準となっています。
- 企業の継続性、収益性
- 企業経営の健全性
- コーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性
- 企業内容等の開示の適正性
- その他、公益または投資者保護の観点から必要とされる事項
東京プロマーケットの上場要件
東京プロマーケットの形式基準
東京プロマーケットも株式市場の一つですので、上場するためには定められた要件をクリアする必要があります。しかし、他の記事でも触れていますが、東京プロマーケットでは形式基準が求められていません。
すなわち、株主数や時価総額、事業継続年数などの要件が不要となっているのです。
東京プロマーケットの実質基準
形式基準はありませんが、実質基準については以下の通り規定されています。
• 上場申請者が、東京証券取引所(以下「東証」という)の市場の評価を害さず、東証に上場するに相応しい会社であること
• 新規上場申請者が、事業を公正かつ忠実に遂行していること
• 新規上場申請者のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること
• 新規上場申請者が、企業内容、リスク情報等の開示を適切に行い、この特例に基づく開示義務を履行できる態勢を整備していること
• 反社会的勢力との関係を有しないことその他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項
また、その他の要件として、J-Adviser制度を利用することが必要です。
上場要件の審査はJ-Adviserが行う
一般的な株式市場では、企業が上場要件に適合しているかどうかの審査は、主幹事だけではなく取引所も行います。そのため、上場申請から承認までのハードルは低いとは言えません。
しかし、東京プロマーケットでは、上場の審査(調査・確認といいます)は「J-Adviser」と呼ばれる主幹事が行い、取引所は形式的には直接審査に関わりません。(取引所は、J-Adviserが実施した審査内容(調査・確認の内容)をチェックすることにより、J-Adviserに対する監督機能を果たしています。
J-Adviserとは、上場を目指す企業のアドバイザーとして働く機関です。上場の準備段階から関わってアドバイスを行い、企業が上場できるようサポートするだけでなく、上場後もその企業が東京プロマーケットの上場企業としてい続けられるように助言や指導を行っていきます。
こうした専任のアドバイザーが上場の要件になっているのも東京プロマーケットの特徴の一つです。
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